信州紬

信州紬は、長野県で生産される絹織物の特産品です。地域ごとに独自の発展を遂げており、「上田紬」「松本紬」「伊那紬」などの名称でも知られています。長野県全域に産地が広がっており、それぞれが異なる特色を持っています。主な特徴は手紡ぎ糸の先染めと平織りの技法で、異なる太さや滑らかさの糸を組み合わせて独特の風合いを生み出します。原料には天蚕を使用することもあります。染め技法は草木染めが主流で、同じ色を再現することはほとんど不可能とされるほど、繊細な作業です。縞や格子、絣、無地などの柄が一般的で、手織りによって一点ものの反物が生み出されます。絹の軽さと柔らかさに加えて信州紬は丈夫で長持ちし、親から子や孫へと受け継がれる逸品です。1975年には経済産業大臣から伝統的工芸品として指定されました。