藤布(ふじふ)とは、藤の蔓を細く剥いで糸を作り、織り上げた布のことです。ざっくりとした素材で通気性が良いため、昔は夏着の一つとして広く使われていました。しかし、明治時代に木綿の大量生産が可能になると、藤布は衰退しました。現在では夏帯などでわずかに使用される程度です。藤布はほとんど見かけることがなくなりましたが、古代から近代にかけては日常的に重宝されていました。 藤布は万葉集にもその名が残る古代からの布でしたが、その厳しい作業工程から中世以降は麻や木綿に取って代わられ、徐々に衰退していきました。しかし、丹後半島の上世屋地区に伝わる技術が、加畑兼四郎さんを中心とする人々の努力によって守り継がれ、現在も制作が続けられています。 藤布の歴史は非常に古く、縄文時代から弥生時代には既に生産されていました。日本最古の歴史書である古事記にも、「春山の霞壮夫の母が、藤蔓から衣服や袴、靴下や履物を一夜で製織して与えた」と記されています。繊維が長く強いため、普段着はもちろん、仕事着としても活躍していたようです。 科学繊維とは異なり、藤布は紫外線にも強く、その耐久性は何十年も作業着として使っても破れにくいと言われています。
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