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森口華弘

森口華弘氏は、1909年に滋賀県守山市岡町で生まれました。森口華弘氏は京都の友禅師、三代目中川華邨(かそん)氏の門下生となり、手描き友禅を修得しました。さらに、華邨氏の紹介で、四条派の画家である疋田芳沼(ほうしょう)氏のもとで日本画も学びました。技法的には伝統的な手描き友禅や糸目糊、堰出しなどに加えて、蒔絵からヒントを得た「蒔糊技法」による新しい表現方法を完成させました。 
森口華弘氏は色数を極力排し、独自の味わい深く格調高い友禅の世界を開拓しました。1967年に57歳という若さで「友禅」の分野での重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、その後は後継者の育成と指導に尽力しました。1971年に紫綬褒章、1982年に勲四等旭日章を受章しています。 
蒔糊は、天日で乾かした糊を細かく砕いて布の上に蒔(撒)いて防染剤にする技法で、江戸時代には「撒糊」と呼ばれていました。角張ったままの形に砕いた糊を、蒔絵のように着物の全面に蒔き、染め分ける色の順序によって微妙な色相変化が生み出されます。 
森口華弘氏の独自の蒔糊技法と個性的なデザインは、今でも多くの人々を魅了しています。彼の表現力は明治から平成にかけての染色作家の中でも際立っています。

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