池田リサ

池田リサさんは国画会会員であり、柳悦博氏に師事しました。池田リサさんは独自に考案した「板締め絣」技法により、空間性豊かな作品を生み出しています。池田リサさんの作品はシックな色使いと洗練されたモダンなセンスが特徴であり、工芸的な華やかさがあります。柳崇さんや本郷孝文さんらと同様に、戦後の工芸的染織を支えた柳悦博さんから指導を受けた池田リサさんは、糸作りに拘り、精錬や撚糸まで手がける難しい仕事を継承しています。彼女の作品は絣模様の美しさが際立ちます。池田リサさん独自の複雑な「板締め絣」技法では、一旦布の形に仮織りし、板締めで絞り、解いた経糸を絣糸として使用します。繊細な手触りを持つ「練絹」と呼ばれる精練された絹の経糸と綿の緯糸で生地を仮織りし、染料に浸して染色します。その後、染め上がりをほどき、経糸のみを取り出して整経し、再度織り上げます。柔らかく滲む色の重なりが創る幾何文はモダンで、色と色が交差し溶け入る美しいグラデーションを生み、この上なく洗練された印象となります。草木染料の透き通った色彩が絹の光沢に映え、完成した作品は神秘的な美しさを放ち、着る人を優しく包み込む表情を見せてくれます。