石川県と着物

石川県では、人口約100万人を超えています。豊かな自然や歴史的な文化遺産、独自の食文化など、魅力の詰まった地域です。大きく分けて、加賀地方と能登地方の二つの地域に分けられ、それぞれ異なる文化や風土を持っています。伝統工芸品も多く、輪島塗や加賀友禅、九谷焼や金沢箔など全国的にも有名なものばかりです。着物においても、加賀友禅をはじめ、牛首紬や能登上布、小松綸子など、着物愛好家からも人気の高い染色織物の産地となっています。

・石川県の代表的な着物

「加賀友禅」

加賀友禅は石川県を代表する伝統工芸品の一つであり、金沢市を中心に作られている伝統的な着物です。京友禅と比べると、落ち着きある写実的な花や鳥などが中心に、絵画調の柄が特徴で「外ぼかし」や「虫喰い」などの技法が入っていたり「加賀五色」と呼ばれる藍・臙脂・黄土・草・古代紫の5色を基調として描かれており、その美しさは全国的に知られています。京都の京友禅や東京の江戸友禅と合わせて「日本三大友禅」とも呼ばれています。 加賀友禅の歴史は今から約500年前から存在しており、京都の町で人気の扇絵師であった宮崎友禅斎が金沢に身を寄せ、友禅糊などの技法を定着させたことによって加賀友禅の基礎を築き上げていきました。江戸時代には武士や貴婦人の晴れ着で着用されていたので庶民が着ることはできませんでした。 1975年には国の伝統的産業工芸品に指定されました。


「牛首紬」

牛首紬とは石川県白山市で作られている伝統的な紬です。一つの繭に2匹の蚕が入った玉繭から糸を紡ぎだし、ほとんどの作業を手作業で行っています。従来は玉繭は糸を引くのが難しかったようですが、職人の試行錯誤の末に「釘抜紬」と別名でも呼ばれるくらいに、糸に弾力ができ丈夫な織物になりました。 牛首紬は、今から約800年以上昔から伝承されているといわれています。昭和10年前後をピークに第二次世界大戦などの影響を受け、一時生産は途絶えることとなり一部の職人によって伝統技法を保つだけの時もありましたが、年月を経て再び生産が再開されました。現在では、普段使いからおしゃれ着としても楽しめる丈夫で上質な紬として人気です。


「能登上布」

能登上布とは麻織物のことで、日本五大上布の中のひとつです。とても軽く、そして薄くできているので高温多湿である日本の夏にとても適している着物といえるでしょう。丈夫さ、透け感、張り感が特徴的で、上布の最高級品ともされています。昭和35年には石川県無形文化財に指定されました。 能登上布の歴史はとても長く、約2000年も前に崇神天皇の皇女が中能登地方で機織りを教えたことが能登上布の起源といわれています。今も手織りで織られていますが、長く使えるほど丈夫で自宅で洗うこともできます。現在では着物に留まらず、小物類のストールやマスクなどの日頃使いやすい小物も作られています。


「小松綸子」

小松綸子とは石川県小松市が産地の絹織物です。経糸と緯糸のどちらもよらない糸を使用した繻子織りの一種です。縮緬よりは薄手ですが生地はなめらかで柔らかいので肌触りが良く、光沢があるのが特徴です。 小松市は上質な絹織物の産地として有名で、聖武天皇の時代では「加賀絹」と呼ばれていた記録があります。 振袖や付け下げをはじめ、襦袢や半衿などにも使用されています。今では、能登上布は夏の最高級着物としてだけでなく、その素材や風合いを活かしたストールや小物なども製作されています。

・石川県を代表する作家や着物と関わりの深い著名人
宮城県での着物の歴史は、江戸時代にさかのぼります。この時期、仙台藩は織物産業を奨励し、特に「仙台小紋」が発展しました。仙台小紋は、細かい模様と色合いが特徴で、藩主や武士の着用が一般的でした。 明治時代には、着物の需要が増加し、仙台の織物技術が全国的に知られるようになりました。戦後も着物文化は続き、現在では観光業の発展とともに、着物体験やレンタルサービスが人気を集めています。これにより、仙台の着物文化は新たな形で継承されています。

・石川県の着物の歴史は？
宮城県での着物の歴史は、江戸時代にさかのぼります。この時期、仙台藩は織物産業を奨励し、特に「仙台小紋」が発展しました。仙台小紋は、細かい模様と色合いが特徴で、藩主や武士の着用が一般的でした。 明治時代には、着物の需要が増加し、仙台の織物技術が全国的に知られるようになりました。戦後も着物文化は続き、現在では観光業の発展とともに、着物体験やレンタルサービスが人気を集めています。これにより、仙台の着物文化は新たな形で継承されています。

・石川県の着物文化の特色は？
宮城県の着物文化の特色として、「仙台平」が挙げられます。仙台平は江戸中期の貞享・元禄頃に仙台藩が御用織物師を召し抱えたことに始まる高級絹織物です。縦に柔らかく横に張りがあり、耐久性に優れています。 現在は(資)仙台平のみが製造しており、袴地や帯、ネクタイなどに使用されています。その品質の高さから、晴れの舞台や芸道に精通する人々から高い評価を得ています。 また、仙台平の代表者である甲田綏郎氏は、国の重要無形文化財保持者（人間国宝）に認定されており、その技術の価値が認められています。

・石川県を代表する作家や着物と関わりの深い著名人

「木村雨山」

木村雨山は、大正から昭和にかけて活躍をした加賀友禅の染織家・着物作家です。
木村雨山は本名を木村文二といい、1891年に石川県の金沢市に生まれました。金沢市は絹織物の生産が盛んな土地であり、身近な草木や花による染色の美しさに惹かれ、染色の道を志すようになりました。
高等小学校卒業後は、当時加賀染めの名工として名高かった上村雲嶂(うえむらうんしょう)に加賀友禅を、南画家の大西金陽に日本画を学び、その後1923年に友禅作家として独立します。
「雨山」という号は師事していた上村雲嶂に由来しており、「雲」の漢字から「雨」を、「嶂」の漢字から「山」をそれぞれ取っていると言われています。
1955年には、友禅の部で重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定されました。友禅で人間国宝に認定された作家は田畑喜八や森口華弘など他にもいますが、加賀友禅では木村雨山ただ一人です。
その後も1965年には紫綬褒章を、1976年には勲三等瑞宝賞を受賞するなど目覚ましい活躍を続け、1977年に86歳でその生涯に幕を閉じました。
木村雨山は加賀友禅の美しさに心を打たれ、日本画的な表現を取り入れた彼独自の技法を生かして、数多くの作品を生み出しました。
その作品は唯一無二のものと言えます。


「羽田登喜男」

日本を代表する手描き友禅作家、羽田登喜男氏。
国内外で高い評価を受け、さまざまな賞を受賞され1988年に人間国宝に認定されました。
羽田登喜男氏の作品は「羽田友禅」とも呼ばれ、京友禅と加賀友禅を融合させた独自のデザインを特徴としています。
京友禅の特徴はやわらかい色合いと華やかさで、装飾には刺繍や金銀箔が多く使用されており、一方加賀友禅は自然の風景を写実的に描くのが特徴で、華やかさを演出する京友禅とは対極的なデザインです。
羽田登喜男氏は、このような京友禅の華麗さと加賀友禅の配色を融合させ、「羽田友禅」を完成させました。
羽田登喜男氏は1911年に石川県金沢市で造園師の三男として誕生。
14歳のときには地元金沢市で南野耕月氏から加賀友禅を、20歳のときには京都府で曲子光峰氏から京友禅を学びました。
羽田登喜男氏は1937年に独立し、京都市上京区に自身の工房を作りました。
「羽田友禅」は作家による一貫作業が行われ、デザインから仕上げまでの約20～30工程を1人で行なっています。
「羽田友禅」は、糸目糊（いとめのり）や堰出（せきだ）し糊などの伝統的な技法を駆使した緻密な作風を特徴としています。
細部までこだわり抜く羽田登喜男氏の作品作りへの姿勢が、多くの人々を惹きつける理由です。
特に「鴛鴦（おしどり）」の文様は、羽田登喜男氏を代表する人気の作品で、「鴛鴦」を生み出すために、文様の部分を白く残して染め上げる白揚げや、細かい粉状にした金砂を接着剤で布地にまきつける金砂子のような加賀友禅の技法を用いました。
２００８（平成２０）年２月、９７歳の天寿を全うされ、現在は長男羽田登氏や、孫の登喜氏により仕事が受け継がれ、作品が作り続けられています。

・石川県に伝わる伝統的な織物と染色技法は？
石川県の着物の種類には「加賀友禅」と「能登上布」があります。加賀友禅は、金沢市を中心に発展した伝統的な染物で、写実的な草花模様や深い古典色が特徴です。特に、結婚式や成人式などの特別な行事で使用されることが多いです。 一方、能登上布は、薄くて軽い麻織物で、夏の着物として人気があります。麻のシャリ感とひんやりとした風合いが特徴で、涼しさを求める季節に適しています。これらの全国的にも有名な着物は、地域の文化を反映し、観光客にも体験できる機会が提供されています。

・石川県の祭りや行事の着物との関わりは？
石川県の祭りや行事における着物との関わりにおいては、地域に根ざした多様な文化を反映しており、特に「金沢百万石まつり」や「高岡御車山祭」があげられます。これらの祭りでは、参加者が伝統的な加賀友禅の着物を着用し、華やかな衣装で行列を作ります。金沢百万石まつりでは、加賀藩の歴史を祝うために、着物姿の武士や町人が登場し、地域の文化を体現しています。 また、高岡御車山祭では、豪華な山車と共に着物を着た人々が神事を行い、地域の伝統を次世代に伝えています。

・石川県の観光や着物体験は？
石川県の観光と着物体験では、特に金沢市が注目されています。観光客は、加賀友禅の美しい着物をレンタルし、金沢の歴史的な街並みを散策することができます。着物レンタルショップは多く、ひがし茶屋街や兼六園の近くに位置しており、観光と着物体験を同時に楽しむことができます。 また、加賀友禅会館では、着物の試着や手作り体験ができ、地域の伝統文化に触れる良い機会となります。このような伝統工芸品に触れることができる施設を訪れ、石川県の豊かな歴史と美しい着物文化を体感し、思い出に残る体験をするのもおすすめです。